- 作家名
- 大西茂 | Onishi Shigeru
数学理論を応用した写真と墨象(書)を手がけたアーティスト。北海道大学大学院で位相幾何学を研究するかたわら写真制作を開始。多重露光に加え、現像液を刷毛で不均等に塗る独自の技法を駆使した。評論家の瀧口修造や金丸重嶺から高く評価され、1956年には「第一回国際主観主義写真展」に出品した。翌年からは墨象の制作を始め、評論家ミシェル・タピエにより「アンフォルメル」の作家として認められる。以後、抽象表現主義の国際的潮流と共鳴しつつ、イタリアやフランスでの展示を重ね、国内では具体美術協会の活動にも参加した。1970年にはドイツで論文集『超関数の理論』を刊行し、数学・写真・書の境界を超えた類例のない創造を追求し続けた。